
集団精神療法の進歩 引きこもりからトップリーダーまで
人の絆を最大の治療要因とする集団精神療法は、医療、教育にとどまらず、組織力、ハイパフォーマーの実力向上に至るまで、その効用を活用する領域が多様にある創造的処方である。本書では、精神分析に由来する集団精神療法の理論的基礎と、引きこもり、いじめ、発達障害からパーソナリティ障害、ハイパフォーマーへの臨床実践に基づいた適応の実際を詳説する。第I部「基礎理論」で集団精神療法の成り立ちから、社会情勢の変遷にともなう技法の発展と、日本人固有の人格構造論、個人精神療法と集団精神療法の交差点について述べ、自我同一性の確立と自己の成熟を追求する第II部の「アイデンティティ・グループ」では、青年期のみならず、プロスポーツ選手やトップリーダーへのアプローチが示される。第III部では、個人精神療法と集団精神療法を組み合わせたコンバインド・セラピィ、治療への導入と動機を促進するためのプレセラピィなどの各種技法が解説され、最終章の第IV章では、統合失調症や境界性パーソナリティ障害をもったクライエントとの仔細な逐語録による介入の実際が示され、筆者が東日本大震災の発災以来取り組んできたPTSDへの集団精神療法によるアプローチが紹介される。「誰もが元気になる集団精神療法」を標榜する著者の姿勢から、理論だけでは学べない体験して面白い活力に満ちた集団精神療法に触れることができるであろう。
- 著者:小谷英文/著
- 発売:2014年03月
- 出版社:金剛出版
- 価格(税込):4,840円
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