神経心理学は,従来の失語・失行・失認の研究のみならず,最近では心理学・神経生理学・画像研究なども加わり,脳研究の中心としての位置を獲得しつつある.本書は,認知症を神経心理学的側面からとらえることを第一の目的にしているが,認知症にみられる症候の多くは神経心理学で扱う内容であり,これまで類書がほとんどなかったことが不思議なほどである.認知症診療にかかわる医療関係者必携の一冊である.