統合・折衷的心理療法の実践 見立て・治療関係・介入と技法

心理療法は、歴史の中で学派ごとにその理論と技法を進化させてきた。しかし、いつの時代もセラピストは学派や理論のためにではなく、クライエントの福祉のために仕事をしなければならない。統合・折衷的心理療法は、かかる心理療法への現実的・実践的要請の中で模索されてきた潮流である。時間的・空間的なクライエント理解から二つ以上の心理療法の理論を複合し、多元的に活用する理論複合(統合)アプローチ。クライエントとのあらゆる接触を技法とみなし、整合的で多次元的なアセスメントからクライエントに最適の技法選択を導き出す技法折衷アプローチ。治療外要因やクライエントの枠組みを最重要視することで、セラピーに共通する治療要因の効果を最大化する共通要因アプローチ。本書ではこの三つの統合・折衷アプローチによる「見立て」、「治療関係」の構築、「介入と技法」の実際を通して、セラピストを目の前のクライエントにとってより確実で有用なリソースへと彫琢するための指針を示す。現場のリアリズムに立脚したこの実践は、わが国の心理臨床の土壌に、統合・折衷の流れをよりリーズナブルで真にクライエント中心的な形で導入していくためのガイドラインとなるであろう。






(版元品切れの際は、入手できませんのでご了承くださいませ。)